2017年10月13日金曜日

金倉昌俊 共産党

金倉昌俊
かなくらまさとし・43歳・共産党・日本共産党北海道委員会職員
インタビュー日:2017年10月8日

事務所にて。夜遅くまでありがとうございました。

1.プロフィール
2.目玉の政策
3.共産党
4.教育
5.安全保障
6.沖縄の在日米軍基地
7.共謀罪
8.アイヌ
9.原発
10.障害者問題
11.おわりに

1.プロフィール
――プロフィールを教えてください。(いくつか質問)

 出身は帯広で、帯広農業高校卒です。趣味は登山とスキーと料理、映画鑑賞です。

――政治家になろうと思った理由、または共産党の職員になろうと思った理由は。

 小学生のときに『はだしのゲン』を読んで、広島に行ってみたいと思いを抱いて、被爆者の方の話を聴いたり本を読んだりしたんですね。高校生のときに広島に初めて行って、実際に資料館や原爆ドームを見て、そのときに、戦争のない社会をどうすれば作れるのだろうかと考えたときに、平和運動に関わって、その中で日本共産党は戦争に反対してた政党だったということを知って、そこで信頼を持って入りました。同世代の若者たちの、長時間労働とか、いわゆるブラック企業の問題とか、日本が世界一高い学費*1で、学生が厳しい生活を強いられていると。そういうのを目の当たりにして、若い人たちに優しい社会にするためにも政治を変えなきゃいけないという思いに立って、立候補をしました。

*1 世界の大学の学費:世界経済開発機構OECDによれば、OECD加盟35ヶ国の公立大学年間授業料の平均はアメリカが最も高く、2番目にチリで、日本は3番目。日本は高い? 大学の授業料が世界で最も高いのはアメリカ 2017/09/17

2.目玉の政策
――今回の選挙での、目玉の政策・実現したい政策を教えてください。

 安倍政権を変えることが最大の今回の争点だと思うので、それをまず目標にしていまして、それと、憲法9条を守る、核兵器禁止条約を禁止する政府を作る。これは平和の想いっていうのが原点なので、思い入れがありますね。同時に、いま日本共産党の職員の中で、青年学生の担当をしていまして、学生の置かれている状況を改善することを、奨学金の拡充とかね、今度の選挙で当選したら実現したいと思っています。2人の子どもを育てている父親でもあるので、子どもの医療費の問題とか、保育所の増設の問題とか、子育てしやすい環境の整備っていうのも実現したいです。たくさんやりたいことはありますね。

3.共産党
――現在の日本共産党の、政策自体はまともだと思うのですが、旧ソ連や現在の中国の指導者は共産党で、“共産主義”に対して良いイメージを持っていない人も多いと思います。共産党が政権を取ったら共産主義革命が起こるのでしょうか?

 僕たちは綱領に、未来社会として資本主義を乗り越えた新しい社会、それを共産主義社会主義と呼んでいるんですよね。そういう未来社会への展望は持っている。それは搾取のない平等な社会、抑圧される人の誰もいない社会っていう。資本主義の様々な矛盾ていうのがありますよね。地球環境の問題とか、貧富の格差とか、繰り返される恐慌とか、そういう資本主義の中では解決できない問題を乗り越える新しい社会は必ず来ると、人類の最終到達は資本主義ではないという風に考えていて、共産党という名前をつけているんですけど、共産主義に進むかどうかっていうのは国民が決める問題だと思います。日本共産党が政権を取ったからといって、強制的に、明日から共産主義にしますということは無いんです。進むか今のままでいるかっていうのはその時の国民が決めるべきことだと思います。

――政権を取った時点では変わらない?

 国民の意識が、そういう(資本主義を乗り越えた)社会に進む方がいいと多くの国民が思ったときに、進歩を、進んでいくと思うんですけどね。

――国民が望んでもいない状態で革命は起こらないと?

 そうですね。今の資本主義より共産主義の方がいいよねってみんなが納得した段階で、多数の意思で進んでいくという社会の進め方をしようっていう風にしてるんです。
 そして私たちは単独政権を取ろうとは思っていません。一党で政権を取ろうとは思ってなくて、民主連合政府っていう、同じ方向を目指す政党であったり団体であったり個人であったり、多くの人達と一緒に政権を作ろうっていうことを目標にしているんです。で、その段階では共産主義とかっていう話は問題にならなくて、資本主義のまま民主主義をもっと発展させようっていう、民主主義革命っていうんですけど、そこを私たちは当面目指しているんです。だから共産主義が嫌だっていう人とも民主主義をもっと発展させようっていう目標では一致出来る、政権も作れるというふうに思っているんです。簡単に言えばヨーロッパ並の働く人の権利とか、社会保障とか、そういうのをまずは目指すっていうのが”民主主義革命”の目標だと思います。

4.教育
――先程もおっしゃいましたが、大学の授業料が高く、北大では学部生の3割、大学院生の4割が奨学金を借りています。それにもかかわらず、北大自体も予算が厳しく、研究費が少なかったり、非正規雇用の職員が増えています。

 お金がなかったら大学に行けないっていう今の日本の現実がやっぱりおかしいと思うんですよね。若い人たちが学び、知識を得て、あるいは技術を持って社会に出ていくことで、利益を得るのは社会全体のはずなので、そういう意味では社会全体が学生を支える、教育を受ける権利学ぶ権利っていうのをきちんと行使できる社会の体制を整えるっていうことは責任だと思うので、そこは絶対やらなきゃならないと思いますね。

選挙事務所は政党によって雰囲気が全く異なりました。共産党は生活感溢れます。

5.安全保障
――2015年に安保が改正されましたが、多くの憲法学者が違憲を唱えるなど、問題を抱えているように見えます。

 僕たちはもちろん反対していたので。安保法制は憲法違反だという立場でいますね。憲法9条を明らかに逸脱した自衛隊の行動が認められるようになっているから、アメリカと一緒に、兵站活動って形で後方支援で戦争に参加すると、それが可能になるし、世界のどこでもいってアメリカを守るためってことで武器の使用もできると。あるいは集団的自衛権で日本が攻撃されていなくてもアメリカが攻撃されたら同盟国だってことで参加できると、完全に日本の防衛とは離れた活動をやるっていう風な内容なので、憲法9条違反なので、廃案を、廃止を目指すっていうことですね。

6.沖縄
――沖縄の普天間飛行場の辺野古移設には多くの県民、県外の人が反対しており、建設現場で座り込みをしている人々の排除方法も乱暴だという指摘があります。

 けしからんと思いますね。沖縄の新基地建設反対っていう民意は、知事選挙*1もそうだし、3年前の衆議院選挙*2でもそうだし、はっきり審判下ってる訳で、それを無視して強引に新基地建設を進めているのが今の政府なので、しかも反対してる住民を強制的に排除する、暴力も使ってっていう、そういうやり方は言語道断ですよね。すぐ止めるべきだし、基地は国外撤去。それしか解決する方法はないと思います。

――そうなると、代わりに自衛隊ですか?自衛隊もなしですか?

 自衛隊は現行を維持するっていうのが必要だと思うんですけど、今の段階では。米軍基地に関してはそうですね、たらい回しでは解決にならない。


*1 知事選挙:翁長雄志現沖縄県知事は辺野古新基地建設反対を掲げている。
*2 3年前の衆議院選挙:2014年の衆議院議員選挙で、日本全体では自民党・公明党が2/3以上の議席を獲得したが、沖縄では4区すべてで辺野古移設に反対する候補者が当選した。

7.共謀罪
――今年の春に共謀罪が成立しましたが、新たに277つもの犯罪が増える上、適用範囲も曖昧で多くの世論調査で過半数が「審議が不十分」という結果が出ています。

 決め方も数の暴力で、審議を途中で打ち切ってやったからそれ自体も絶対駄目なことだし。中身も、おっしゃったように曖昧。曖昧っていうのが恣意的に使われる一つの要素なので、その時の政府に都合の良いような解釈でいくらでも適用範囲も広がる、乱用されるっていうおそれのあるものっていうのは法律として存在すべきじゃないと思うんですよね。非常に危険だし、国連の人権委員会からも強い懸念が示されている、表現の自由やプライバシー権が侵害されているって恐れが国連からも指摘されている訳で、これも今すぐ廃止しようと思っています。

8.アイヌ
――来年北海道は「命名」150周年ですが、現在の北海道の土地は、元々アイヌの人が暮らしていて、今も暮らしている土地ですが、今行われている政策が文化政策ばかりです。アイヌの奪われた土地や、財産、貧困や差別について国はどう取り組むべきだと思いますか。

 先住民族としてまず認めるということが必要*1ですね。貧困の問題も急いで解決しなきゃいけない問題で、色々お話聴いたこともありますけれども、今の色々な支援制度があったとしても、非常に不十分で使いづらいという声もあって、あるいは差別を恐れてなかなか申請できないという方もいるようですよね。そういう、使うことを拒んでいる、障害になっている問題について取り払っていかなきゃならないと思いますし、北海道の大事な問題なので、アイヌのみなさんともお話を聴いて適切な政策を作っていきたいと思いますね。

――お話を聴いたのは当事者の方?

 そうですね、アイヌ協会とかの団体の方々です。


*1 アイヌを先住民族として認める:衆参両院は2008年6月6日の本会議で、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。

9.原発
――東日本大震災で起きた福島第一原発により、今も多くの人が故郷を離れて暮らしています。北海道の泊原発は現在稼働停止していますが、国と北電は再稼働に向けて動いています。

 再稼働すべきじゃないと思います。福島第一原発の事故の事故原因の解明も十分じゃないし、泊についても活断層の問題*1が指摘もされていて、安全基準を作ったっていっても、絶対安全なんてないっていうことが福島で分かったわけだから、原発ゼロっていう舵を急いで切ると、自然エネルギー、再生エネルギーを飛躍的に増やして、原発からの転換を図るってことに本気で取り組まなきゃいけないと思います。電力も足りてますしね。


*1 泊原発、活断層の問題:泊原発のある積丹半島は、沖に活断層があり、半島自体が過去の地震で隆起してできた可能性がある。北海道電に衝撃 規制委、泊周辺の活断層「想定すべき」 2017/03/11

10.障害者
――昨年津久井やまゆり園事件という大変悲惨な事件がありました。それを受けて国は施設の拡充などを進めようとしていますが、当事者の方からは施設ではなく地域で暮らしたいという意見があります。

 障害者のみなさんの人権ていうのをどう守るかっていうのは社会全体で考えなければならない問題だと思いますよね。障害を持ってる方だけを集めて、どっか違うところで暮らすっていうのがいいのか、決してそうじゃないし、逆にそういう隔離みたいな形になることで、健常者との意識の乖離というか、同じ人間として共同して支えないながら生活するんだっていう意識が薄れていっているという気がしますし、今の安部政権の弱肉強食のね、効率化とか、実存主義というか、弱いものは置いてけぼりになってもいいというような、そういう政治のあり方そのものが社会全体に影響を与えているといわざるを得ないですよね。やっぱり共同社会というか、一部の人だけが富を独占するとかっていうのじゃなくて、全体の暮らしが底上げされて、支えられる、そういう共同社会っていうのが必要なんじゃないかと思いますよね。

11.おわりに
――若者の投票率が低いという問題がありますが、なぜ投票に行かなければならないのでしょうか。

 それはやっぱり、投票っていう行為が、主権者として、自分達の未来を選択するというような、自分たちの生きていく日本を作る行為だと思うので、選挙に行かなければ半分くらいの人の意思で日本の進むべき道が決まってしまうという結果になってしまうので、自分たちがこれからの日本を作る主人公として、生きていくためにも、選挙にいって、日本が進むべき道をぜひ選択してほしいなって思いますね。

――今の選挙の問題の一つに、小選挙区制は死票が多かったり、一番強い党が勝ちやすい選挙制度だということがあると思います。

 小選挙区制はすごい弊害が多いと思いますね。おっしゃったように、民意が反映されづらい。結果的に3~4割の得票で6割7割の議席がとれるって言う結果に実際なってますから。

――何選挙区制が一番良いと思いますか?

 中選挙区にすることや、比例代表性が一番民意を反映するんですよね。得票に応じて議席を配分するという。比例代表制を中心にした選挙制度にすることが一番民意を反映できると思いますね。
 小選挙区で政党の公認を受けなければ選挙に出られないっていうことで、安倍首相の言いなりというか、安倍首相に反対意見を言えなくなっているというのが自民党の中でも生まれていると思うんですよね。だからああいう今までにはない独裁的なやり方をする人を自民党の中で止める力が失われている、それが小選挙区制に一つの原因があると思います。

――最後に、アピールしたいことがあればお願いします。

 僕も共産党の中で青年や学生分野の仕事をしてて、学生のみなさんが置かれている今の状況とかに胸を痛めているひとりなので、若者を粗末に扱う今の政治を力を合わせて変えていきたいなって思ってます。ぜひ選挙に行っていただきたい。そして各政党が何を言っているのかをぜひ関心を持ってもらいたいなって思います。で、選挙の公約だけではなかなかいいことばっかり書いてある場合もあるので、今までそれぞれの政党が何をしてきたか、それぞれの議員が当選して、言ってきたことをやってきたかっていうことも含めて見ていただければ間違いはないと思います。公約ももちろん大事ですが、その公約を今まで守ってきたか。公約を実現するために努力してきたかどうかっていうのを見ることが大事だなと思います。

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